東山動植物園オフィシャルブログ

イタセンパラの産卵期 まもなく終了

世界のメダカ館では、天然記念物の日本産淡水魚イタセンパラを展示しています。


①イタセンパラ


また屋外のバックヤード水槽でも飼育しており、まさに10月が繁殖シーズンでした。イタセンパラはタナゴの仲間なので淡水二枚貝に産卵するという特殊な生態を持っています。


②産卵行動


そこで、イシガイという二枚貝も同時に飼育して、この貝に卵を産み込こんでもらいます。


③産卵直前♂♀


写真③はビデオ静止画ですが、2匹見られる魚のうち、奥側がメス、手前側がオスです。オスはヒレが黒く変色して発情しており、メスが産卵するのを静かに待っています。しばらくすると、メスは砂の中に隠れているイシガイにすばやく産卵管を突き刺して卵を産み込み、オスは精子をかけます。


④産卵瞬間


写真では、メスが少し前に動いたようにしか見えませんが、この間約1秒の速さで体から出ている産卵管を貝に挿入して卵を産み込むのです。
貝に産みつけられた卵はどうなっているかというと、死亡した貝の写真をご覧ください。


⑤貝に産み付けられた卵


貝の鰓の部分に産みこまれています。この状態で稚魚は孵化し、翌年の5月まで静かに貝の中で過ごすのです。昨年は150匹繁殖に成功しました。春までとても長いですが、春に稚魚たちが見られるようになったらまた報告します。

動物園飼育第二係  水野 展敏


「飼育員は見た」





『時と場所を選んでいる場合ではない。
 彼らには時間がないのだ。

 音もなく背後から忍び寄り、囁きかける雄。
 まんざらでもない気配で軽くかわす雌。

 追っては半ば強引に抱きかかえる雄。
 身をゆだねる雌。

 真昼の出来事。

 時と場所を選んでいる場合ではない。
 彼らには時間がないのだ。』


 虹色に輝く体色の彼らは、ノトブランキウス・フォールシ(Nothobranchius foerschi)。
 オスの色が派手な分、背びれでメスを抱きかかえる行為がわかりやすいかと思います。
 メダカの一生は短いですが、彼らはその最たるもの、「年魚」。
 一年で生を終えてしまう魚です。
 

 彼らの生まれ故郷はタンザニア。
 ピンと来られた方もいらっしゃるでしょうか、そう、「雨季と乾季のある環境」です。
 乾季になると川の水が干上がるため、魚たちは生きてゆけません。
 生後およそ3か月で成熟した彼らは、川が干上がる前に子孫(卵)を残すのです。
 水底に残った土のわずかな湿り気を頼りに、卵の状態で乾季を越えるのです。


 川は干上がり成魚たちは死に絶えてしまいますが、卵の姿で約2か月を過ごした子孫たちは、雨季に入ると孵化し、親と同じように3か月ほどで成熟し繁殖に臨みます。
 「時と場合を選べるほど彼らには時間が残されていない」とは、こういう背景からなのです。
 魚に限らず、もし園内で動物たちのこのような光景に出くわしたら、こんな背景があることも思い出し、現地の生活環境にも目を向けていただけたらなあと思います。


ノトブランキウス・フォールシ


動物園飼育第二係  加賀谷 優子


赤ちゃんが産まれたよ

赤ちゃんが産まれました。

さてなんの赤ちゃんが産まれたのでしょう?




ドジョウでしょうか?ハゼでしょうか?

正解は世界のメダカ館にいるヨツメウオの赤ちゃんです。



ヨツメウオは卵胎生メダカでニホンメダカとは違い、卵ではなく直接、稚魚を産み落とします。

稚魚も産まれた時から親とほとんど同じ形態をしており、ミニサイズのヨツメウオといった感じです。

もう少し大きくなるまで時間がかかりますが、また皆さん会いに来てください。

動物園飼育第二係  前田 悠介


カワヒガイの繁殖

「ヒガイ」
あまり聞きなれない名前の魚ですが、コイ科ヒガイ属の日本産淡水魚で、世界のメダカ館では自然生態ゾーンで飼育・展示しています。



名前の語源は、やせて弱々しいことを表す「ひがいす」という方言に由来するとの説があります。また、漢字では「鰉」と書きますが、これは明治天皇が好んで食されたことから「魚」へんに「皇」という字が当てられました。

ヒガイはタナゴの仲間と同じように、二枚貝に卵を産みつける独特の方法で繁殖します。世界のメダカ館でも、卵を産むためメスの産卵管が伸び、オスもメスを追う様子が見られたためイシガイやドブガイを水槽に入れて自然繁殖を狙いましたが、なかなか産卵してくれませんでした。そこでタナゴの仲間ではすでに人工授精による繁殖に成功していたので、その技術を使ってヒガイの人工授精を行いました。



ふっくらと膨らんだメスの腹部を軽く押すと、直径2.5㎜ほどの円に近い楕円形の卵が出てきます。産卵後しばらくすると4㎜ほどの大きさに膨らみ、形もまん丸になります。オスも同じように腹部を押して、出した精子を卵にかけ受精させます。その後、毎日水換えし、無性卵や中止卵を取り除くなど清潔な状態で管理すると、10日程でふ化します。ふ化した稚魚は1cmほどの大きさで、すぐに餌を食べ始めます。



今回行った人工受精では受精率が低く、8匹の稚魚しか得ることが出来ませんでしたが、この経験を元に繁殖技術を向上させていきたいと思います。このように世界のメダカ館のバックヤードでは、日々試行錯誤しながら魚たちの命を次世代に繋げるための様々な取り組みを行っています。


動物園飼育第二係  佐藤 正祐


すごいパワー!! 緑の水「グリーンウォーター」

 毎日暑い日が続いていますね。人間はぐったりするところですが、屋外で飼育しているメダカ達は元気いっぱいです!繁殖期真っ只中で、たくさんの産卵がみられています。



 私が担当する世界のメダカの仲間たちは、卵でふえる卵生です。もちろん二ホンメダカも卵生です。卵の大きさは、メダカの種類ごとに様々で、稚魚の大きさも卵の大きさにだいたい比例します。今まで飼育したことがあるメダカの中では、最小の種類で卵0.7㎜、稚魚3.0㎜、最大の種類で卵2.0㎜、稚魚7.0㎜です。

 稚魚は、口に入る大きさのものしか食べることができませんので、とくに小さな稚魚に与えるエサには、ワムシという動物性プランクトン(大きさ約0.02㎜)を使います。しかしそれでも100%の稚魚が成長するわけではありません。そこで、一部の種類では、緑色の水「グリーンウォーター」の中で育てる方法をとります。



 グリーンウォーターとは?

 屋外でバケツに水を入れたままにしておくと、緑色の水になったという経験お持ちではありませんか?その水の中には植物プランクトンがたくさんいます。

 植物プランクトンは大きさ約0.05㎜で、自然に水中にたくさん湧いて、メダカの稚魚のエサとなり、赤ちゃんメダカはすくすくと大きく育ちます。親メダカも、緑の水の中に含まれるたくさんのエサのおかげで、よい栄養状態で飼育できます。



メダカ館屋外の水槽


 もしメダカをご自宅で飼育されている方はお試しください。見た目は汚れた水に見えますが、メダカにとっては、とても良い水ですよ。


動物園飼育第二係  田中 理映子


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